こんにちは、柴山壽子です。
家相コラムも第5回目を迎えました。
本日は「家の面積」について。
家相学では何と言い伝えられてきたのかご紹介しましょう。
家相書には
「宅大にして住人少なきは、しだいに貧窮になる相となせり」
つまり「家が大きく、住人が少ないのは凶」
大きな家に住人が少ないのは陽気に欠けており発展性がなく、しだいに貧困になるという意味です。
また逆に「宅小に住人多きは、富貴繁昌の相なり」
「小さい家にたくさんの人が住むのは吉」という言葉があります。
狭い家にたくさんの人が住むのは吉、どんどん活気に溢れいずれ富裕になる、繁栄すると言っています。
イメージしてみるとわかりやすいですね。
極端ですが、よくドラマで設定される大富豪の家や人物像は「宅大にして住人少なき」で大きな家にマダムと愛犬という、いかにも寂しい設定になっていますが、
陰の気が強いイメージがありませんか?
ぱっとイメージすると孤独、一人、寒い、閉ざされている、暗い・・・などが思い浮かぶと思います。
一方、狭い家に大勢の人が集まっていると、
わいわいと活気があって賑やか、騒がしい、明るい、暑い(熱気)・・・このようなイメージがありますね。
一昔前の日本はまさに、宅小に住人多き状態でした。
私が子どもの頃は自分の部屋などは一切与えられず、兄弟も多いので茶の間(今で言うリビングのようなもので一家団欒の場所です)に家族が揃い、狭いながらも賑やかなものでした。
不便さはありましたがそれ以上に、賑やかで楽しくて温かい、この思い出が強く残っています。
今のようにプライベートの空間がない状態ですから、私たち子どもは開放感を求めて
外で遊ぶわけです。
「大きくなったら大きなお家に住みたいな」そんな夢はきっと、私たち世代は誰もあったと思います。
それが現在の日本の住宅の形になったのでしょう。
- 大きな家に住む
- 自分の部屋が欲しい
- 車に乗りたい
子どもの頃に思った夢を実現させてきたわけです。
不便さがあったが故に快適、便利を追求してきたのですね。
その思いは働くことへの原動力にもなり、また様々なアイデアが生まれる糧にもなっています。
それが結果「富貴繁昌の相なり」とは申しませんが、子ども達が家から独立し、実家を支えてくれ、またその子ども達が家族を築き一家はさらに人が増え賑やかになる、
また同時にその家を支え引き継いでくれる後継者にも恵まれるわけです。
古い考えかもしれませんが、このような考え方が薄れていった結果、今の日本の大問題、 『人がいない』という問題の原因の一つになっているのではないかと思います。
人がいない=滅びるわけですから、これは国をあげて対策を考えるべき重要な課題です。
さて、大人になり大きな家に住むことも叶い、一人部屋のプライベートな空間も得ました。
個人的な意見ですが一通り経験して今、思うことは
「大きいから快適だとは限らない」という事です。
また今の子ども達を見て思うことは
「小さいうちは不便さを感じさせることも必要で、人や家族の温かさを覚えさせるべき」
つまり快適な空間を与えるよりも、少々狭くても賑やかさや、家族の温かさを感じさせることが大事だと思います。
不便さは快適を求めるための「アイデア」を生み、物がなければどうやって遊ぼうか試行錯誤する「考える力や知恵」を与えてくれるのです。
人感で電気がついたり、自動で水が流れるトイレなどは若いうちは無用、
「あれ、流したかな?」とうっかり忘れてしまうシニア世代が使用すべきなのです。
話しが逸れましたが、国土交通省より「居住水準」として住宅面積の目安が出ています。
「最低居住水準」と「誘導居住水準」の二つの目標値があり、
最低居住水準とは健康で文化的な生活を送る上での最低水準を、
誘導居住水準とは良質な住宅の確保にむけての目標値です。
◆参考:世帯人数別の面積例
世帯人数別の住戸専用面積(例)(単位:m2)
単身 |
2人 |
3人 |
4人 |
||
---|---|---|---|---|---|
誘導居住 |
一般型 |
55 |
75【75】 |
100【87.5】 |
125【112.5】 |
都市居住型 |
40 |
55【55】 |
75【65】 |
95【85】 |
|
最低居住面積水準 |
25 |
30【30】 |
40【35】 |
50【45】 |
【 】内は、3~5歳児が1名いる場合
住む地域により異なりますが、
最低でも必要な面積(最低居住水準)は4人家族で50平米(約15坪)、
理想的な面積(誘導居住水準)で125平米(約38坪)となっています。
掃除の点から考えても、広くなればなるほど主婦の負担が増え、手が行き届かない場所が必ず出てきます。
不思議な事ですが、小さければ小さいなりに生活し、大きければどんどんその大きさに合わせて物が増えるのです。
また家相の点から申し上げると、
使用していない部屋は「欠け」になります。
さらに人が出入りしない部屋は傷みやすくなるのをご存知でしょうか?
人が出入りしないので湿気がこもり、通気も悪く、傷みが早くなります(特に木造)。
広い家は人に不安感を与え落ち着かず精神的、心理的にもよくないと言われています。
適度な大きさが環境的にも、心理的にも、経済的にも一番良いという事です。