2011年 9月のコラム

建築士 光岡青児みなさんこんにちは、9月のコラムを担当させて頂きます光岡です。

みなさんは普段の生活で地面(地盤)をどのくらい意識したことがあるでしょうか。

地面は“動かない”ことが当たり前なので、ほとんどの人が、歩いている道路や住んでいる土地がどのぐらいの強さなのか、あまり気にしないでしょう。
一方で大きな地震の際に起きる“地盤の液状化”や“手抜き工事で家が傾いた”といった話題がテレビ番組などで取り上げられ、地盤の問題に触れる機会も増えているかと思います。

このように普段意識していない「地盤」ですが、いざ家を建てようとなると、
いろいろな問題をメディアで目にすることもあり、とても気になる方が多いのではないでしょうか。

ここでは「家」を建てる場合の地盤に絞って話題にします。

「家」には、住む人の身体的な安全や精神的な安心を守る重要な役割があります。

数十年に1度の割合で起こる地震や、あるいは巨大地震でも震源地から離れている場合には、たとえ外壁にヒビが入ったりしても、柱・梁・基礎といった重要な構造体はしっかりと耐え、床が傾くような事態は避けなければなりません。

地震もないのに家が傾くようなことはもっての他です。

しかし、たとえ太い柱や梁を使っていても、たとえ構造的に重要な耐力壁を多く配置していてもそれを支える足元の基礎や「地盤」がしっかりしていないとい意味がありません。

建物の強さは、上に建っている「家」をしっかりした「地盤」が受止めてこそ成立します。
つまり、建物と土地は一体となって初めて本来の機能を持つのです。
これから家を建てようとする土地は、一見して綺麗に造成されていても、
過去に田んぼであったり、窪地を埋めた場所であったりするかもしれません。
すぐ下に軟らかい地盤が隠れている場合もあります。

その場合は、さらに下の方にある頑丈な地層に届く杭を打ったり、軟らかい土にコンクリートを混ぜて補強するなど、何かしらの対策をとり、安定した地盤と建物を結び付ける必要があります。

それでは現実的な話しとして、地盤の調査や補強工事について。

地盤の調査費用は、数万円と比較的安価です。
最近の調査には、その場所がどのような種類の土で構成されていて、深さによってどの程度の硬さがあるか、そして補強が必要なのか、必要な場合はどのような方法が適しているか、といった考察が含まれています。
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今のところ一般的な住宅を建てる場合に、地盤の補強が必要かどうかの明確な法的判断基準はありません。
したがって調査結果をもとに建築士や施工会社等と相談し、地盤の補強について決定していきます。

それでは補強が必要な場合、工事金額はどのくらいでしょうか。

もちろん地盤の状況や、採用する工法によって差がありますが、これまで私が係ってきた事例ですと、建坪15坪程度の2階経て木造住宅で60~100万円程度でしょうか。決して安い金額ではありません。それゆえに、さまざまな問題やトラブルが発生します。

法的基準が曖昧なことをいいことに、必要な補強を行わない業者もあるでしょう。
建物の契約後に地盤補強工事を別途要求されることもあるでしょう。
予算が足らず、不安ながらも補強工事を行わないこともあるかもしれません。
大切なのは、当初から地盤補強工事が必要な場合を想定し、予算に組み込むことです。

最後に繰り返しになりますが、永く住み続けられる頑丈な家を造るには、屋根・柱・梁・基礎などと同じで、地盤は建物を構成する重要な要素として考えてください。

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